平衡型ストレージ・システムの構成

外部ストレージ・システムをシステムに接続するには、平衡型システムの特性を設定するために特定の設定が適用されていることが必要です。

このタスクについて

外部ストレージ・システムをシステムに接続するには、以下の 2 つの主要な手順を考慮します。
  1. システムからストレージへの接続の特性の設定
  2. 論理装置のこれらのストレージ接続へのマッピング (システムが論理装置にアクセスできるようにする)

ストレージ・プールは、容量および IOPS が同じ MDisk で形成することをお勧めします。例えば、MDisk 当たり 1000 GB で 2000 IOPS にします。こうすると、ストレージ・プール上で割り振られる各ボリュームが最適なパフォーマンスを達成します。ストレージ・プールに、1000 GB の容量および 200 IOPS の MDisk が 1 つ含まれていて、別の MDisk の容量が 1000 GB、IOPS が 2000 である場合、割り振られるボリュームは、管理対象モードでは 200 と 2000 の IOPS を使用できません。

システムの仮想化機能を使用して、ストレージを分割してホストに提示する方法を選ぶことができます。仮想化により、柔軟性が著しく向上する一方で、 過負荷のストレージ・システムをセットアップする可能性も生じます。ホスト・システムによって発行される入出力トランザクションの数量がそれらのトランザクションを処理するストレージの能力を超える場合、ストレージ・システムは過負荷になります。ストレージ・システムが過負荷になると、ホスト・システムでの遅延の原因となり、入出力トランザクションがホストでタイムアウトになります。入出力トランザクションがタイムアウトになると、ホストはエラーを記録し、アプリケーションに入出力の失敗が報告されます。

シナリオ: ストレージ・システムが過負荷になっています。

過負荷のない平衡型ストレージ・システムを構成するには、以下の手順を実行します。

手順

  1. IBM Cloud™上の管理対象ディスク (MDisk) の入出力速度を取得します。
  2. ストレージ・プールの入出力速度を計算する。
    ストレージ・プールの入出力速度は、ストレージ・プール内の MDisk の入出力速度の合計です。
  3. 表 1 を使用して、 FlashCopy® マッピングの影響を計算する。システムが備えている FlashCopy 機能を使用する場合は、FlashCopy 操作で生じる追加の入出力の量を考慮する必要があります。その入出力の量によって、ホスト・システムからの入出力を処理できる速度が低下する場合があります。FlashCopy マッピングにより、まだコピーされていないソースまたはターゲットのボリュームの領域にホスト・システムからの入出力がコピーされる際には、システムが追加の入出力を生成してデータをコピーしてから、書き込み入出力が実行されます。FlashCopy 機能を使用した場合の影響は、アプリケーションによって生成される入出力ワークロードのタイプによって異なります。
    表 1. FlashCopy マッピングの影響の計算
    アプリケーションのタイプ 入出力速度への影響 FlashCopy の追加加重
    アプリケーションは入出力を実行しない ほとんど影響なし 0
    アプリケーションはデータを読み取るのみ ほとんど影響なし 0
    アプリケーションはランダム書き込み操作のみを発行する 入出力の最大 50 倍 49
    アプリケーションはランダム読み取り操作と書き込み操作を発行する 入出力の最大 15 倍 14
    アプリケーションは順次読み取り操作または書き込み操作を発行する 入出力の最大 2 倍 1

    アクティブな FlashCopy マッピングのソースまたはターゲットであるボリュームごとに、ボリュームを使用するアプリケーションのタイプを考慮してください。また、ボリュームの追加加重を記録してください。

    例えば、FlashCopy マッピングは、時刻指定バックアップを提供するために使用されます。FlashCopy プロセス中、ホスト・アプリケーションにより、ソース・ボリュームとのランダム読み取りおよび書き込み操作の入出力ワークロードが生成されます。2 番目のホスト・アプリケーションはターゲット・ボリュームを読み取り、データをテープに書き込んで、バックアップを作成します。ソース・ボリュームの追加加重は 14 です。ターゲット・ボリュームの追加加重は 0 です。

  4. 以下のステップを実行して、ストレージ・プール内のボリュームの入出力速度を計算します。
    1. ストレージ・プール内のボリューム数を計算する。
    2. アクティブな FlashCopy マッピングのソースまたはターゲットであるボリュームごとに、追加加重を追加する。
    3. ストレージ・プールの入出力速度をこの数値で割って、ボリューム当たりの入出力速度を 計算する。

    例 1:

    ストレージ・プールの入出力速度は 2400 で、20 個のボリュームが 含まれます。FlashCopy マッピングは存在しません。ボリューム当たりの入出力速度は 2400 / 20 = 120 です。

    例 2:

    ストレージ・プールの入出力速度は 5000 で、20 個のボリュームが 含まれます。ストレージ・プールにソース・ボリュームを持つアクティブな FlashCopy マッピングが 2 つあります。ソース・ボリュームはともに、 ランダム読み取りおよび書き込み操作を実行するアプリケーションによってアクセスされます。その結果、各ボリュームの追加の加重は 14 です。ボリューム当たりの入出力速度は 5000 / (20 + 14 + 14) = 104 です。

  5. ストレージ・システムが過負荷になっているかどうかを判別する。ステップ 3 で判別された数値は、ストレージ・プール内の各ボリュームによって処理できる秒当たりの入出力操作数を、ある程度示します。
    • ホスト・アプリケーションが生成する 1 秒当たりの入出力操作数が分かっていると、それらの数値を比較して、システムが過負荷であるかどうかを判別できます。
    • ホスト・アプリケーションが生成する 1 秒当たりの入出力操作数が分からない場合は、システムが提供する入出力統計機能を使用して、ボリュームの入出力速度を測定します。また、表 2 をガイドラインとして使用することもできます。
    表 2. ストレージ・システムが過負荷になっているかどうかの判別
    アプリケーションのタイプ ボリューム当たりの入出力速度
    高い入出力ワークロードを生成するアプリケーション 200
    中位の入出力ワークロードを生成するアプリケーション 80
    低い入出力ワークロードを生成するアプリケーション 10
  6. 結果を解釈する。アプリケーションによって生成された入出力速度が、 計算したボリューム当たりの入出力速度を超過すると、 ストレージ・システムを過負荷にすることがあります。ストレージ・システムを注意深くモニターして、バックエンド・ストレージがストレージ・システムの全体のパフォーマンスを制限していないか判別する必要があります。前の計算が単純過ぎて、その後のストレージの使用をモデル化できないこともあります。
    例えば、計算では、アプリケーションがすべてのボリュームに対して 同じ入出力ワークロードを生成することを想定していますが、 これは必ずそうなるとは限りません。

    MDisk の入出力速度を測定する場合は、システムが備えている入出力統計機能を使用できます。ストレージ・システムが備えている パフォーマンスおよび入出力統計機能を使用することもできます。

次のタスク

ストレージ・システムが過負荷になった場合は、問題解決に採用できるいくつかのアクションを実行できます。
  • システムにバックエンド・ストレージを追加して、 ストレージ・システムが処理できる入出力数を増やします。システムには、仮想化およびデータ・マイグレーションの機能があり、ストレージをオフラインにする必要なしに、ボリュームの入出力ワークロードをより多くの MDisk 間に再配布します。
  • 不必要な FlashCopy マッピングを停止して、バックエンド・ストレージにサブミットされる入出力操作の数を減らします。FlashCopy 操作を並列に処理する場合は、並列に開始される FlashCopy マッピングの量を減らすことを考慮します。
  • ホストが生成する入出力ワークロードを制限するように、 キュー項目数を調整します。ホストのタイプおよびネットワーク・アダプターのタイプによっては、ボリューム当たりのキュー項目数を制限したり、ネットワーク・アダプター当たりのキュー項目数を制限したり、あるいはその両方を制限することも可能です。システムには、ホストが生成する入出力ワークロードを制限できる入出力管理機能もあります。
注: これらのアクションを使用して入出力のタイムアウトを回避できますが、ストレージ・システムのパフォーマンスは、依然として所有するストレージの量によって制限されます。